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小麦色⑥焼けた素肌 [color sensation]

山口百恵A.jpg


♪…………
 彼が窓辺で話しかけるわ
 流れる雲さえ季節の色だと
 私は軽いめまいを感じ
 マニキュアの指 かざしてみるの
 ア ア ア イミテーションゴールド
 ア ア ア 焼けた素肌が
 ア ア ア イミテーションゴールド
 若いと思う 今年の人よ
 声が違う 年が違う 夢が違う ほくろが違う
 ごめんね 去年の人とまた比べている
(「イミテーション・ゴールド」詞:阿木燿子、曲:宇崎竜童、歌:山口百恵、昭和52年)

「小麦色」に「ブロンズ色」、くわえて「琥珀色」と日焼けの色にもいろいろありますが、流行歌の中で、もっとも多い表現はというと、「ブロンズ」、「琥珀」はもちろん「小麦」だって落選。

ダントツの第一位は「焼けた素肌」
なんともストレートな。

「素肌」がただの「肌」になったり、「頬」あるいは「胸」、「腕」、「背中」と具体的なからだの部位になることはありますが、とにかく「焼け」ちゃう。

あえて「小麦色」や「ブロンズ色」なんていわなくても、たとえば「焼けた素肌」といえば小麦色の肌を連想するんですね。
「焼けた肌」で黒こげを想像する人はまず少ないでしょう。

上にのせた「イミテーション・ゴールド」(山口百恵)は昭和50年代のヒット曲。
どうやら新しい恋人の彼が小麦色のようです。

しかしこのシチュエーション。
海辺の別荘あたりで、朝早く波乗りをしてきた彼が、目覚めて窓をあけ放った彼女に話しかけるってところですか。

それにしても彼のいいぐさときたら、
「ホラ、見なよ。あそこの流れる雲さえ季節の色を感じさせてくれるぜ、ったく……」
だって。
ずいぶん、キザというか詩人というか、今風にいえばメンドクサイやつですよね。
だから彼女はイラッときて眩暈までひきおこしちゃったんじゃないでしょうか。

いきなり脱線のようで。

「焼けた肌」のルーツも昭和30年代、西暦でいえば60年代まで遡れます。
「小麦色①月影のキューバ①」のところでもふれたように、「焼けた肌」もやっぱり、夏場の海への「国民大移動」が顕著になった昭和30年代半ば以降の流行歌にみられるフレーズではないでしょうか。
おそらくそれ以前の、とりわけ戦前の歌謡曲にはなかったのでは、と推測できます。

で、すぐに思い浮かぶのが、またまた登場元祖双子デュオのザ・ピーナッツ
曲もおなじみの夏歌「恋のバカンス」
♪陽にやけた頬よせて ささやいた約束は

そもそもバカンスという言葉が世にはびこりだしたのもこの頃ですからね。もはや死んでしまっているのかもしれませんが。(でも時々聞くよね)

作詞岩谷時子、作曲宮川泰で、約半世紀前のポップス。いまだうたわれているのがスゴイ。曲もいいけど詞もいいんでしょうね。

昭和40年代にはいるとこの2曲。
まずは「真赤な太陽」(美空ひばり)
♪はげしい愛に 灼けた素肌は

作詞は今年の5月に亡くなった吉岡治。こうして改めて聴くと美空ひばりがいかに、流行に敏感で貪欲だったかということがわかります。

「真赤な太陽」といえば黛ジュン
平成14年にCD化していますが、実は当時(昭和42年)レコーディングしていたものを復活させたのだとか。なんで“お蔵入り”になってしまったんでしょう?

黛ジュンはその年「恋のハレルヤ」でデビュー(渡辺順子でレコードを出しているので再デビュー)しましたが、翌年ヒットしたのが「天使の誘惑」
♪陽に焼けた胸に 飛び込むでしょう

ミニスカートをトレードマーク(古い?)にした彼女はまさに夏のイメージ。

50年代はまさにアイドルの時代。
先の山口百恵の「イミテーション・ゴールド」をはじめ、

「夏にご用心」桜田淳子
♪焼けたからだの砂が こぼれて落ちる 夏の午後

「私はピアノ」高田みづえ
♪焼けた素肌が今でも なつかしい

「ピンクのモーツァルト」松田聖子
♪あなたへと灼けた腕 巻きつけるのよ

男だって「灼けた肌」をうたっちゃう。
「ブルージーンズ・メモリー」近藤真彦
♪きらめく銀のネックレス 灼けた肌 きまりすぎだぜ

とまあ、よくも焼いてくれています。みなさん。

勢いにのって昭和を突き抜け「平成」までいってしまいましょう。

♪日焼けした肌まだ黒い 楽しい思い出
「私がオバさんになっても」森高千里
森高さんホントにオバさんになっちゃたと思うんですが、海ではどんな水着になるんでしょう。

♪日にやけた強い腕 根元だけ黒い髪
「ナナへの気持ち」スピッツ
ヘンな女・ナナへの讃歌ですね。それにしても強い腕ってぶっといってことですか?いや筋肉質のって感じでしょうか。

♪焼けた背中 口づけの スコールを
「エンドレス・サマー」矢沢永吉
背中に口づけっていうのもなかなかエロっぽい、いやイロっぽいですね。

♪灼けたあなたの背中 砂より熱くて
「純情」チューブ
こちらも背中。
なんだかんだいっても「焼けた肌」の“常習者”といえばチューブでしょう。
ほかにも、「セイリング・ラブ」、「あの娘に急上昇」、「夏に片想い」などで灼けた「素肌」や「肌」がでてきます。

探せばもっとあるでしょうし、みんなの好きな「あー夏休み」では、
♪It’s all right 抱いたっていんじゃない 焦げた素肌を
って「焼けた」より過激な「焦げた」になっちゃってたり。

その「焦げた」で思いついたのですが、「小麦色」に替わる日焼けの色として、「キツネ色」なんてどうでしょう。
前にもいいましたが、フランスでは日焼けを「パンの焦げた色」っていうようですし、焦げたパンといえば、こんがりふかふかキツネ色ですし。

♪キツネ色した あの日の笑顔(初恋のひと) とか
♪若い二人は キツネ色(銀杏並木)とか
♪わたし裸足のマーメイド キツネ色なの(小麦色のマーメイド) とか
♪キツネ色のmemory,yeah(栞のテーマ)
なんて。どうでしょう? 
キツネだけに、コン プリート!てか?(オカダなみに寒いでしょ)


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