小麦色⑤街角トワイライト [color sensation]
Hold Me Tight, Hold Me Tight
My Little Girl
♪琥珀色した首筋に 俺のイニシャルのペンダント
愛してる 愛してる ささやいた Lovely Girl
…………
南風 受けながら 生まれたままの姿で
愛し合い 夜明けまで Night On The Beach
Hold Me Tight, Hold Me Tight
My Little Girl
…………
(「街角トワイライト」詞:湯川れい子、曲:井上忠夫、歌:ラッツ&スター、昭和56年)
「ブロンズ色」もそうでしたが、もうひとつ日焼けした肌の「小麦色」以外の表現としてあるのが「琥珀(こはく)色」。
琥珀amber はジュエリーとして知られていますが、元は鉱石ではなく、樹脂が永い年月を経て化石化したもの。
映画「ジュラシック・パーク」で“虫入り”の琥珀がでてきたので知っている人も多いと思いますが。
たしかにライトブラウン系の色で、日焼けの色といえばそうかも。
歌ではたしかに上にのせたラッツ&スターの「街角トワイライト」の冒頭にでてきます。
別に首筋だけが琥珀色で顔は白いって、そういう歌じゃありませんよ。
全身が琥珀色で、たまたま目がいったペンダントが首筋だったという話です。説明することでもないですけど、あえて。
これも「ブロンズ色」と同様、作詞家のアイデアなのか、ほかではあまり聞きません。
どうにかみつけたのがチューブの[Surfer Girl]。
♪陽ざしにからまる琥珀色した肌 so nice!……
コンガリ娘に恋い焦がれた男のラヴソングですね。「街角トワイライト」のようなステディな関係ではまだないようですが。
詞・曲とも前田亘輝。
しかし、琥珀色が日焼けの色っていうのは……、だなぁ。
琥珀色ってジュエリーでもわかるとおり、ブラウン系でも透明感のある色ですから。
そうそう、昔こんな歌がありました。
♪むかし アラブの えらい お坊さんが
…………
琥珀色した飲み物を 教えて あげました
西田佐知子でヒットした洋楽カヴァー「コーヒー・ルンバ」。
どちらかというと紅茶のほうが近いかなって気もしますが、たしかに珈琲の色の表現としては、的を射てます。
液体ですから、透明感もありますし。
しかし、珈琲、紅茶よりももっと琥珀色がふさわしいのがウイスキー。
ちあきなおみの「紅い花」でも
♪琥珀のグラスに 浮かんで消える 虹色の夢
とでてきます。
「琥珀のグラス」とはもちろんウイスキーのことですね。
もうひとつ、昔(かなり)、テレビのCMでよく耳にしたのが、
菅原進がうたった「琥珀色の日々」
♪思い出は 琥珀色に そまりゆく
ウイスキーのCMですが、ウイスキーはでてきません。
でもタイトルで「琥珀色の日々」が表示されれば、CMの内容と琥珀色がつながるのは自然。
歌の内容は、男が、今一緒にいる恋人(妻)との昔日の思い出にひたっているという状況。
仕事を終えたあと、自分の書斎でウイスキーグラスを傾けながら夏の日の思い出にふける。なんて映像をイメージしてくれたらウレシかったんでしょうね、CM制作者やクライアントは。
いずれにしても、この「琥珀色」はウイスキーの色と、思い出の色、つまりセピア色のダブルミーニングになっているわけです。
「セピア色」はモノクロ写真の退色した色ですし、印画紙の光沢で透明感もありますし、「琥珀色」といえないこともない?
ほかにも「琥珀色」を思い出の色としてうたっている歌があります。
あみんの「琥珀色の想い出」。
♪素敵な琥珀の想い出が手を振る……
こちらは失恋歌。琥珀色になっちゃったんだから相当時間経ってますね。それでも忘れられないっていう未練節。
「琥珀色」と「セピア色」。ちょっと違うような気もしますが、感じ方ですから「同じだよ」っていう人もいるでしょう、きっと。
それにしても陽に焼けた肌の色、珈琲の色、ウイスキーの色、そして思い出の色。
なかなか奥行きのある色ですね、琥珀色。
まだまだほかにいろいろなものの喩えとしてつかわれているんじゃないでしょうか、琥珀色。
たとえば結婚式とかオープニングセレモニーとかのイメージカラーとしても。
「それは、琥珀じゃなくて紅白だろっ」ってバレバレですね。
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