夏歌①ほおずき [noisy life]
♪ほおずき ほおずき まだ鳴らせない
ほおずき ほおずき もし鳴らせたら
胸にたまった 恨みごと こめるように
いつでも 鳴らして いたっけね 紅いほおずき
おまえにしてみた あの仕打ち
今ごろくやんでいるんだよ
ほおずき ほおずき まだ鳴らせない
ほおずき ほおずき もし鳴らせたら
おまえの寂しさ わかるだろ
(「ほおずき」詞:ちあき哲也、曲:杉本真人、歌:渡哲也、昭和53年)
夏です。
浅草寺でほおずき市がはじまっています。
でも雨です。
久しく行っていないし、仕事も一段落したので今年は、って思っていましたがこの雨ではねえ……。どうしたものか、まぁ明日の気分しだいということで。
ほおずきの思い出はやっぱりこどもの頃。
わたしの家の傍に3姉妹が住む大きな屋敷がありまして、そこの女学校に通う長女がなぜかわたしを可愛がってくれまして。
切れ長の目に、口元のホクロ。当時はともかくいま思い出すとかなり艶っぽい女性でした。
流行歌のてほどきを受けたのがそのお姉さんでしたし、映画にも“虫よけ”としてよく連れて行ってもらいました。山本富士子の「夜の河」とかチンプンカンプンの映画でしたが。
そのお姉さんがほおずきを上手に鳴らしていましたね。
キュッキュキュ、キュッキュキュってね。
ほおずきは「鬼灯」あるいは「酸漿」と書くナス科の植物で、橙色のサヤのなかに同じ色の丸い実がなります。
その実を皮が破れないようによくもみほぐします。そして楊枝などで穴をあけ、なかの実をそっと掻きだして皮だけにするのです。
その皮を口にふくみ、穴のあいたところに舌先をあててフッと吹きます。するとキュッキュと音が出るのです。
といっても実は、わたしは吹いたことがないのです。
毎年例のお姉さんがほおずきを数個持ってきて、「○○ちゃんもやんな」ってくれるのですが、生来の根気のなさ、不器用が災いしていつも皮を破り、失敗してしまうのです。
ですからわたしのほおずきの思い出は、吹けなかったという情けなさと、上手に吹いていたそのお姉さんのことだけ。
ちょうどその頃、お姉さんが好きだった歌手が神戸一郎。(わたしもお姉さんの強いプッシュでファンになりました)
その神戸一郎がうたってヒットした曲が「恋人をもつならば」。
西條八十の作詞で2番にこんな詞があります。
♪黒襟姿に洗い髪 明治の名残の黄楊の櫛
酸漿を 噛みながら
ホテルの粋なバルコンで リルケの詩集を読む美人
ああああ 恋人を持つならば
夢のある夢のある そんな人
YOU-TUBEにないのが残念でした。
これ以外にも「ほおずき」の歌はいくつかあります。
いちばんポピュラーなのは「グレープ」というかさだまさしの「ほおずき」でしょうか。
「精霊流し」や「無縁坂」同様の叙情フォークで、昔好きだった彼女と行ったお祭りで鬼灯を買った思い出がうたわれています。
ほおずきの他にも、「綿菓子」「下駄の鼻緒」「風鈴」「団扇」「花火」と夏を伝えるキーワードがいくつもちりばめられているこれも夏歌。
この歌も好きですが、マイ・フェヴァリットは上に詞をのせた渡哲也の「ほおずき」。
昔一緒に暮らしていたけど自分のせいでどこかへ逃げて行ってしまった女。
すぐに追いかければよかったのに、へんな意地がじゃまして「あんな女なんか……」って。
そういえばよくほおずきを鳴らしてた。
そのときはどうってことなかったのに。いまになってみるとあの少し頬をふくらました表情がふとした時に浮かんでくる。
あれから何年。
ちょっとした気まぐれでほおずきを買ってみた。そして中味を取り出し口にふくんで、アイツのように吹いてみた。けどうまくいかない。
なんでこんな他愛のないことをするんだろうか。
ばかばかしいと思いつつ、万が一、音が出たらもしかして……。
なんていう男の「未練節」です。
作詞作曲は「吾亦紅」のコンビ。この歌は感情移入が過多でちょっとうたえませんが。
どちらも好きな作家ですが、とりわけちあき哲也は演歌、ポップスを問わずの器用な作詞家。
最大のヒットは今話題の庄野真代がうたった「飛んでイスタンブール」。
これは「ほおずき」と同じ年の少しあとに出たヒット曲。
ほかでは矢沢永吉にも多くの詞を書いていて、なかでもポピュラーなのが「止まらないHa~Ha」。
ジャニーズ系では少年隊の「仮面舞踏会」や近藤真彦の「ヨイショ!」など。
演歌ならちあきなおみの「かもめの街」や門倉有希の「ノラ」。
フォークなら因幡晃の「忍冬」や五十嵐浩晃の「ペガサスの朝」。
そのほか、加藤和彦と組んだゴールデン・カップスの「たった一度の青春」や狩人の「国道ささめ雪」なんかもありました。
これらのうち「かもめの街」、「忍冬」、「国道ささめ雪」は杉本真人とのコンビです。
杉本真人もちあきなおみの「紅い花」とか小柳ルミ子の「お久しぶりね」「今さらジロー」などのヒット曲がありますが、好きなこの2曲をYOU-TUBEで。
「五月雨ワルツ」
ほかでは、浅草での同棲時代の思い出をうたったちあきなおみの「ほおずきの町」、やはり浅草での失恋をうたった木の実ナナの「紅ぼおずき」があります。
どちらも吾妻橋が出てくるのがおもしろい。
また、耐えてあなたを支えますって演歌嫌いがいちばんイヤがるストーリーの「ほおずき」は松原のぶえがうたっています。
哲兄ィは昔の女のことが忘れられずになんとか音を出そうと「ほおずき」を噛んでいます。
わたしも幼少の頃の切れ長の目のお姉さんを偲んで(死んだわけじゃないけど)、昔できなかった「ほおずき」にトライしてみるかなって言ったら、連れが「ものずきがほおずきってか?」だって。お粗末。
(以下ひとり言)
ところで、ワールドカップの決勝は明後日でしたっけ。応援していたアルゼンチンは負けたし、サブのドイツも負けたし、こうなったらスペインでもオランダでもいいや。
でも、午前3時はやっぱり無理だな。朝のニュースで見るしかないな。
日本が負けて視聴率はかなり低いだろうな。
それにしても、日本チームへのあの称賛ぶりおかしくないかい?
ベスト16だよ、ベスト4ならともかく、あの成績で総理大臣に会いに行くかい? 地方自治体から表彰されるかい? ふつう。「健闘しました。パチパチパチ」でいいんじゃないの。
あれじゃ国民栄誉賞だってもらいそうな勢いだもの。
ハードルが低すぎたんだね。下手すりゃハードル地下に埋まってたなんて話も。
それにマスコミも、開会前にあまりにも岡ちゃんを叩きすぎたもんで、バランスとるべしと必要以上にもちあげてるんでないの?
でもさ、岡ちゃん、もしかしてすべて計算ずくであの「前哨戦」負けてたんじゃないのかね。全部勝ってたら、ベスト16ぐらいじゃファンもマスコミも納得しなかったでしょうから。
だからワザと負けてハードル土中に埋めさせたんじゃなかろか。
もしそうだとしたら、岡ちゃんってドエリャー監督ですよ。
な、アホな。
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