喫茶店●学生街 [a landscape]
♪君とよく この店に 来たものさ
お茶を飲み わけもなく 話したね
学生で 賑やかな この店の
片隅で 聴いていた ボブディラン
あのときの歌は 聞こえない
人の姿も 変わったよう
時は流れた
(「学生街の喫茶店」詞:山上路夫、曲:すぎやまこういち、歌:ガロ 昭和47年)
「ジャズ喫茶」が出てくる歌でもうひとつ思い出すのが森田童子の「ぼくたちの失敗」(昭和51年)。
♪地下のジャズ喫茶 変われない僕たちがいた
独特の森田童子の世界。
ここに出てくる「ジャズ喫茶」はもちろん前回のようなロカビリアンたちのライブハウスではありません。
正真正銘?のジャズレコードをかけてくれる喫茶店のことです。
ジャズではありませんが、森田童子にはもうひとつ喫茶店が出てくる歌があます。
♪夏休みのキャンパス通り コーヒーショップのウインドウの向こう 「さよならぼくのともだち」(昭和50年)
この歌も「ぼくたちの失敗」同様友人との別れがうたわれています。
2つの歌に共通していることは、どちらも「ぼく」に対する「きみ」が「やさしかった」ということ。そのやさしい「きみ」と決別しなくてはならなかった「ぼく」とは何ものだったのか。
おそらく「ぼく」とは若さゆえの優柔、臆病、頑な、傲慢といった未熟な精神を象徴していたのではないでしょうか。
森田童子の歌には恋愛であれ学生運動であれ、青春の挫折が多くうたわれています。
これもまた形は違えど「夏だ海だサーフィンだ」や「冬だ雪だスノボーだ」と同じ青春の歌ではあるのです。
いってみれば多くの人にあったであろう青春の影の部分であり、そういう歌にこだわって歌い続けたからこそ、森田童子というシンガーが特異な存在として、のちのちの時代まで光彩を放ち続けているのではないでしょうか。
話が軌道を逸脱しそうな予兆なので(いつもだ)、強制終了。
気をとりなおして、「さよならぼくのともだち」に出てくる喫茶店、つまりコーヒーショップはキャンパス通りにあります。
そうでした学生の街にも喫茶店は欠かせないロケーションでした。いまはどうなんでしょうか。
昭和40年代、50年代はゲーセンもなければケータイもインターネットもなかった。授業の合間や休講になったときなどヒマをつぶしに行く場所は喫茶店。
珈琲や紅茶がおいしい、あるいはゆっくり本を読むためにという場合もなくはなかったでしょうが、だいたいは友だちに会うことが目的。
行きつけの喫茶店に行けば誰かしらはいたもので、そこで情報交換したり、最近観た映画の話をしたり、恋愛話をしたり。
授業を受けるよりも、友だちとそんなとるに足らない会話をすることを目的に学校へ来ていたような(わたしの場合は)。
そう考えると当時の喫茶店は、下宿(アパート)、教室とともに学生生活にとって欠かせない場所であったことがわかります。
したがって学生が主人公の歌にはしばしば喫茶店が出てくることに。
なかでもいちばんポピュラーだと思われるのが、上に歌詞をのせた「学生街の喫茶店」(ガロ)。ストレートなタイトルですね。
リアルタイムで聴いていたときは、メロディーがいささか甘すぎると思っていましたが、歳をとったいまはほどよい甘さ加減に。そんなことはどうでも。
昭和40年代、50年代に学生だった方々は、この歌が流れてくると、当時の思い出の1ページや2ページぐらいは頭に浮かぶのではないでしょうか。なかには本一冊分浮かぶ人もいたりして。
作曲のすぎやまこういちは、「モナリザの微笑み」「白夜の騎士」「花の首飾り」「君だけに愛を」などタイガースの一連の曲や、「恋のフーガ」「ローマの雨」などザ・ピーナッツの曲を作っています。またベンチャーズもカヴァーした「涙のギター」(寺内タケシとブルージーンズ)も名曲でした。
ガロでもほかに「学生街の喫茶店」の補足的なストーリー「君の誕生日」なんて小ヒット曲があります。
作詞の山上路夫もGSからアイドル歌謡、ニューミュージックまで幅広くかつ多くのヒット曲を書いていますが、フェヴァリットが多すぎて長くなりそうなのでいずれまた(あてにならない)ということで。
でも当時けっこう好きだった川口真とのコンビのこの曲だけでも。
急いで他の“学生街の喫茶店”の歌を。
ガロの「学生街の喫茶店」の翌年にリリースされたのが
♪古くから学生の街だった 数々の青春を知っていた
というあべ静江の「コーヒーショップで」。
これは、フォークギターを弾くという“わけありそうな”マスターが出てくるストーリーで、作詞は阿久悠、曲は三木たかし、どちらも故人となってしまいました。
「城跡」とい言葉が出てくるので地方の「学生街」ということなのでしょう。
城があれば城下町、寺社があれば門前町が形成されたように、学校があれば学生街ができるのは自然のなりゆき。
ほかでは、
♪夕暮の街角 のぞいた喫茶店
という「まちぶせ」(石川ひとみ他)も、とくにことわっていませんが、学生街のフンイキがあります。ユーミンがうたったほうがよりキャンパスっぽくなるかも。
また、
♪紅茶のおいしい喫茶店 白いお皿にグッバイ バイ バイ
という柏原芳恵の「ハロー・グッバイ」(アグネス・チャンなら「ハロー・グッドバイ」)も学生街っぽいですが、こちらはもしかしたら大学の街ではなく高校の街かな。
前述しましたが、わたしにも当時よく足を運んだ学生街の喫茶店が何軒かありました。
なかでもよく覚えているのが「H」という店。
地下にあって(こういう異空間が良かったんですね)30代の若い夫婦がやっている店で「ナポリタン」が美味しかった。内装やカウンター、椅子の感じなんかもよく覚えています。それとそこでよくダベっていた友だちの顔も。
大学を“早期卒業”して数年後、当時の友だちと会うためその学生街へ。
わずかの時間だと思っていたところが、学生街はたいへんな様変わり、当時なかった舗道や洒落た街路灯ができてたりして。
それどころか、友人と会って行ってみようということになった「H」までもが別の店に変わっていました。
ガロの「学生街の喫茶店」では
♪人の姿も変わったよ
とうたっておりますが、もはや「街の姿も、店の姿も変わったよ」なんて具合で、ちょっとした喪失感があったのを覚えています。
こんばんはと言うべきか、お早うございますと言うべきか AM3:00です。
とにかくユーミンは歌が上手いのか下手なのか、そもそも上手い下手はどういうことなのか、たとえ下手でもあれほど支持され続けるのは歌がいいだけなのか。
でもそれはともかく確かにユーミンは都会的というのは彼女の意図するところだと僕も思います。僕らもかなり影響を受けたわけだし言葉ってすごいと思わせる感性のすごさがありますよね。
ごめんなさい勝手な話です。(笑)
あべ静江は変わり果ててしまいましたね。あれほど変わってしまったのは・・・・いやいやもっと変わった人が天地真理、テレビの前で涙がでました。(笑えません)
話は変わりますが最近の歌をカラオケで歌えずこのごろ時代に乗り遅れた恐竜のような気持ちです。うーん何とかしなくては。
以上つまらない話で申し訳ありませんでした。 敬具
by レモン (2010-05-15 03:23)
レモンさん、こんにちは。
ユーミンどうですかね。
歌の上手なシンガーはよくカヴァーアルバムなどを出しますよね。
ユーミンは……。
でも彼女ぐらいになると、うまいへたというより味といいますか、それで聴かせちゃうんでしょうね。
でも、彼女のすごいところは曲作りですね。
メロディーメーカーといいますか、あの旋律は独自のスタイルがあってなおかつ聴いていてここちよい、天才ですね。
あべ静江、「変わり果てて」っていうのはスゴイ表現ですね。おもわず笑ってしまいました。なにか、参院選に出るとか出ないとか話題になっていますね。
天地真理、最近見かけませんね。おっしゃる通り落差ナンバーワンかもしれませんね。「ぼくの青春をかえせ!」なんていってるファンもいるんでしょうね。
わたしも最近の歌というかJポップもヒップホップもだめですね。大縄跳びでいえば、なかなか入れないし、はいろうとすると必ずひっかかりますから。
だからハナからうたう気はなく、あいもかわらずのナツメロ三昧です。洋楽もいくつかはいけるんですけど、場がシラケるのでパスしてます。
レモンさんは貴重な訪問者のおひとりですから、いつでも歓迎です。
by MOMO (2010-05-15 22:41)
ユーミンの場合は、卒業した主人公が学生時代を思い出すというシチュエーションのほうが似合うような・・・。
(^^)
それと、個人的には、ユーミンはメロディーより、歌詞とコード進行のほうに魅力があるような気がします。
by Mashi☆Toshi (2010-05-15 22:57)
Mashi☆Toshi さんこんにちは。
社会人で「まちぶせ」っていうのは少しコワイ気もしますが、そんなオトメチックな女性もいるかもしれませんね。
そうですか、ユーミンのディープなファンは詞に共鳴してるんですね。
今度じっくり味わってみます。
by MOMO (2010-05-18 00:21)
はっこうさん、ありがとうございます。
by MOMO (2010-05-28 22:29)