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Hymns②やがていつの日か [noisy life]

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There’s a land that is fairer than day,
And by faith we can see it afar;
For the Father waits over the way
To prepare us a dwelling place there.
(Refrain)
In the sweet by and by,
We shall meet on that beautiful shore;
In the sweet by and by,
We shall meet on that beautiful shore.
([IN THE SWEET BY AND BY] words by SANFORD F. BENNETT, music by JOSEPH P. WEBSTER, 1868)

子供のときならいざ知らず、大人になったらクリスチャンでもないかぎり讃美歌をうたったり聴いたりする機会などまずないでしょう。

ところが、カントリー・ミュージックのファンのほとんどは好むと好まざるにかぎらず讃美歌を耳にしたり口ずさんだりするのです。
それだけ、カントリーに讃美歌は欠かせない歌なのです。極論すれば、カントリーはラブソングと讃美歌および神や信仰を題材にしたセイクレッドソングでできているといってもいいほど。

聞いたところによると、カントリーシンガーがアルバムをつくるとき、必ず1曲はヒムやセイクレッドソングを入れておくとか。それが自身の信仰心の厚さの証明であり、同様なファンへのサービスなのだと。いわば“お約束”というヤツでしょうか。

では、わたしなど信仰心のかけらもないカントリーファンにとって、こういう歌はどうなのか。
正直若いころはスルーしていましたが、齢を重ねるにしたがって「いいんじゃないの」なんて心境に。寛容になったのか、はたまた鈍感になったのか。

でも、日本人でかの讃美歌「アメージング・グレイス」AMAZING GLACEを聴いて心穏やかになる人はクリスチャンだけとは限りませんよね。もしかしたら、クリスマスやバレンタインデーのように、その瞬間だけ俄かクリスチャンになっているのかもしれませんが。
それはそれで。キリストさんだってそのへんはお赦しになるでしょう。

そんなわけで、今日と明日の2回、わたしの好きなカントリーの讃美歌を紹介してみたいと思います。

今日は [IN THE SWEET BY AND BY]

ドリー・パートンDOLLY PARTONのエンジェルヴォイスとジェリー・ダグラスJERRY DOUGRASの悠久の世界を想わせるドブローが(わたしの)汚れた心を洗い流してくれるようです。
ドリーをバックアップしているのはアリソン・クラウスとユニオンステーションALISON CRAUSS & UNION STATION。

In the sweet by and by
We shall meet on the beautiful shore
いつの日か美しい岸辺で逢いましょう

というリフレインがとてもきれいで印象的な歌です。

これは「信仰が篤ければ、すばらしい場所を見ることができる。そしていつの日かそこで逢えるでしょう」という、いわば天国信仰をうたったものです。
「逢う」って誰と? 「We」というのは誰のことでしょうか。まさかイエスではないですよね。神と自分のことを「We」とはいわないものね。
信仰で結ばれた仲間たちと、ということでしょうか。

この歌は上のクレジットにあるように、1868年といいますから日本でいえば明治元年につくられています。讃美歌には番号があって、この歌は488番、讃美歌の邦題は「遥かに仰ぎ見る」となっています。

作曲のウェブスターは、教会音楽の父といわれたロウエル・メースンLOWELL MASON に讃美歌の手ほどきを受けた人で、いささか神経症ぎみだったとか。
あるとき、ふさぎこんでいたウェブスターを見て、友人で詩人のベネットが心配して「大丈夫かい?」と訊ねました。するとウェブスターは[It will be all right, by and by] 大丈夫、そのうち良くなるさ  
と答えました。ベネットはその言葉に啓示を受け、すぐにペンを走らせてこの印象的な詩を書きあげました。それを見たウェブスターもすぐさま曲づくりにとりかかり、30分も経たずにこの美しい曲が完成したそうです。
近いのか遠いのか、140年あまり昔の逸話です。

いずれにしてもドリーの歌声は、我がご臨終のときに聴かせてほしいと思うほど優しさに満ちていますし、個人的にも彼女の「イン・ザ・スゥイート・バイ・アンド・バイ」がいちばんです。でも、もう少しカントリーっぽいほうがいいという向きには土くさいロレッタ・リンLORETTA LYNNの歌声なんかどうでしょう。

ほかではジョニー・キャッシュでJOHNNY CASH聴いたことがありますが、彼の場合3ヴァージョンぐらいあるようです。ギターの弾き語りもいいですが、ポップ・カントリー風のノリのよいヴァージョンがイカしてました。
ちょうどこんな感じでしょうか。

まぁ、とにかく。何度もいいますが、クリスチャンではないわたしでも、この歌を聴いているとなんとなく、やがていつの日か、美しい彼岸でわたしより先に死んでしまった懐かしき人たちと逢えるのではないか、なんて気持ちになってくるから不思議です。

最後にオマケ。
讃美歌の曲はゴスペルのナンバーになっていることもめずらしくなく、この曲もそのようです。で、そんな雰囲気の「やがていつの日か」をどうぞ。これもなかなか。


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カチューシャ

お帰りなさ~い!
大きな大きな
クリスマスプレゼントですネ、

非常に興味のある内容なので
もう一度読みなおします~
では・・・又。
by カチューシャ (2009-12-21 00:41) 

MOMO

カリーナさん、こんにちは。

「お帰りなさい」っていわれると恐縮してしまいます。

まだのんびりブログを打ち込むような状況になかなかなりませんでして。
それでもこのまま年を越してしまうと「永眠」なんてことになりかねないと思い、強引にアップしてみました。

これからふたたび「冬眠」状態が続くと思いますが、なんとか今回のように書き込めるよう、がんばってみます。
週一はムリでも、月に一、二度できれば、と思ってます。

とにかう読んでいただいてありがとうございます。
by MOMO (2009-12-21 22:01) 

veke’sun

なにかの啓示をうけて短時間で曲を書き上げると云うことはよく見聞きすることですがIn the sweet by sweet が創られたちょうど50年前1818年12月24日オーストリアのチロル地方の小さな村、オーベルンドルフの聖ニコラ教会で、偶然,一夜にして創られた賛美歌に、クリスマスキャロルの代表曲とも云うべき”きよしこの夜-聖夜ー”があります。
村の聖歌隊のオルガンがパイプの鞴(ふいご)を鼠にかじられて音が出なくなった事にきずいたオルガン奏者のフランツ・グルーバーと司祭のヨゼフ・モールが手元にあったギター(7弦)で複雑な和音構成を排除してシンプルなメロディーの賛美歌をつくりあげた。しかし聖歌隊全員に教える時間が、なかったので二人でギターと歌をうたい、最後のフレーズだけを聖歌隊がリフレィンすると云うやりかたでイブの礼拝を無事にとりおこなった、と伝えられています。
どうしてアカペラで歌わなかったのか。聖歌隊といっても村人ですから、伴奏なしではハモれなかったのです。
と云う昔の切り抜きをみつけました。
by veke’sun (2009-12-28 20:39) 

MOMO

veke'sun さん、ごぶさたしています。

そうなんですか、「聖しこの夜」は12月24日につくられたのでしたか。それもそんな偶然で。
それにしても、なにか人の心に響く歌だったのでしょうね。でなければ1回こっきりのピンチヒッターでおわり、なんてことになってたかも。

短時間でつくられた傑作っていうのもある話ですよね。

いろいろありがとうございます。今年もよろしくお願いします。

by MOMO (2010-01-01 20:24) 

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