その名は●フランク [the name]
♪赤い灯がつく 赤坂タウン
甘く流れる 夜の色
恋にゃ泣いたが カチートよ
カクテル・グラスにからませた
あの娘の 白い指
好きになっては いけないかい
僕の可愛い 相棒よ
東京カチート、カチート、カチート
(「東京カチート」詞:佐伯孝夫、曲:吉田正、歌:フランク永井、昭和35年)
フランクFRANK という名はゲルマン民族のひとつ、フランク族が語源になっている。そこからうまれた英語の男性名がフランシスFRANCIS (フランシス・コッポラなど)で、ドイツではフランツFRANZ、フランスではフランソワFRANÇOIS、イタリアではフランセスコFRANCESCO となる。
フランクはそのフランシスの短縮形。またその愛称にはフランキーFRANKIE がある。
ミュージシャンでフランクといえば、「ザ・ヴォイス」THE VOICEことフランク・シナトラFRANK SINATRA を真っ先にあげなくてはならない。「夜のストレンジャー」STRANGER IN THE NIGHT 「マイ・ウェイ」MY WAY などヒットソングをあげればきりがない。彼はご存じのとおりイタリア系だが、本名はフランシス。
ほかでは50年代のポップシンガー、フランキー・アヴァロンFRANKIE AVARON(「ヴィーナス」VENUSなど)、「ハイ・ヌーン」HIGH NOON や「ローハイド」RAWHIDE で日本でもおなじみのカントリーシンガー、フランキー・レーンFRANKIE LAINE が。
また演奏者では、タンゴのフランシスコ・カナロFRANCISCO CANARO 、イージーリスニングではフランク・プールセルFRANCK POURCEL ORCHESTRA、フランク・チャックフィールドFRANK CHACKSFIELD が。
しかし、今日は日本のフランク、フランク永井を。
その経歴はテレビ、新聞等の訃報に譲るとして、もちろん「フランク」は愛称で米軍キャンプでうたっていたとき、米兵からつけられたとか。その穏和な性格と人なつっこい表情からなのか、はたまた、当時人気絶頂だったフランク・シナトラにあやかってつけられたものか。
のど自慢の常連からはじまり、ジャズやポップスを米軍キャンプやクラブでうたっていたころからそのうまさは定評。そこでビクターレコードがスカウト、昭和30年「恋人よ我に帰れ」LOVER COME BACK TO ME でレコードデビュー。その後も何曲かリリースしがたサッパリ。
そこで作曲家の吉田正の提案で歌謡曲へ。歌謡曲デビューは昭和31年の「場末のペット吹き」。これまたいまいちだったが、その翌年末ついにビッグ・ヒットが。それがかの「有楽町で逢いましょう」。
以後、その低音とジャジーな雰囲気でヒット曲を連発。彼の一連のヒットナンバーは、当時「都会派歌謡曲」といわれ、のちの「ムード歌謡」の魁となった。
正直、「有楽町で逢いましょう」の記憶は幼すぎてないのだが、それから数年、草野球に興じるほどには大きくなっていたわたしは、兄哥連がうたう「東京カチート」や「好き好き好き」を嫌というほど聞かされた。だからわたしにとってフランク永井の歌は原っぱで白球を追いかけるシーンと一対になっているのだ。
彼がクラブシンガーからスカウトしたといわれる松尾和子とのデュエット「東京ナイトクラブ」や「国道18号線」もよかった。その松尾和子もいないし、吉田正も作詞の佐伯孝夫もいない。そうかぁ、もうあれからとても長い時間が過ぎたんだ、と改めて思い知らされる。
リバイバルの「君恋し」もいい。宮川哲夫が作詞した「公園の手品師」にはシャンソンの香りがするし、「こいさんのラブコール」、「大阪しぐれ」、「大阪ロマン」など演歌の風味を加えた“浪速もの”もまたいい。
そして、元来のジャズフィーリングも。「恋人よ我に帰れ」、「バラの刺青」、「シックスティーン・トンズ」、「イッツ・ビーン・ア・ロング・ロング・タイム」、「夕日に赤い帆」……いいなぁ。
とにかく人生のいろいろな場面で楽しませてくれた歌手だった。
とりわけ子供時代に多くの想い出を残してくれたっけ。数え切れないヒット曲を聴くと、いろいろな人の顔や、そのひととの想い出が蘇ってくる。
あの不幸な出来事があった後、ナツメロ番組をみるたびにどれだけ「フランク永井がいたらなぁ……」と思ったことか。残念。
それでは最後にフランク永井のフェヴァリットソングベスト10+1を。
「好き好き好き」 ♪好き 好き好き 霧の都東京……
「東京カチート」 ♪赤い灯がつく 赤坂タウン……
「君恋し」 ♪宵闇せまれば 悩みははてなし 乱るる心に 映るは誰が影……
「ラブレター」 ♪ほのかに暗い 紫シェード むなしく夜は 更けていく……
「こいさんのラブコール」 なんで泣きはる泣いてはる 思い出の柳並木も……
「国道18号線」 ♪あの日逢わなきゃ 逢いさえしなきゃ……
「東京ナイトクラブ」 ♪なぜ泣くの まつげが濡れてる……
「羽田発7時50分」 ♪星も見えない空 淋しくながめ……
「大阪ぐらし」 ♪赤い夕映え 通天閣も 染めて燃えてる 夕陽が丘よ……
「公園の手品師」 ♪鳩が飛び立つ公園の 銀杏は手品師 老いたピエロ……
「バラの刺青」 ♪He wore the rose tattoo, To prove his love was true . . .
コメント頂き有難うございました。
お客は少なめでしたが、暖かい声援を頂き満足しています。
またいつか演奏出来たらその時はどうぞよろしくお願いします。
それからもうご存知かと思いますがフランク永井が亡りましたね。
本当に昭和の一番モダンな時代を代表する歌手だと僕も思います。
それはフランスでいえばイヴ・モンタンやアズナブール、日本ではフランク永井みたいなある種の品格を備えた歌手だった、と思うのです。
老兵は死なずただ去り行くのみ
フランク永井様の冥福をお祈りします。
by レモン鈴木 (2008-11-03 08:02)
どういたしまして。
ぜひ続けていってくださいね。
フランク永井、テレビ、ラジオでその歌声が流れていますね。
あらためていい低音だなと思います。
いい歌もたくさんあるので、ぜひだれかに継承してもらいたいと思います。
by MOMO (2008-11-05 20:57)
shinさん、はじめまして。
読んでいただきありがとうございます。
今後ともよろしくお願いします。
by MOMO (2008-11-07 20:18)