SSブログ

北京五輪⑤野口、劉、土佐 [deporte]

隆翔.jpg

いやぁ、ソフトボール日本対オーストラリア戦、いい試合だった。
お互いにハラハラドキドキで延長5イニングス目の12回、日本4-3でサヨナラ勝ち。
今日は「夏休み」で午前中の対アメリカ戦(これも延長だったが負け)も見たが、ピッチャーの上野は2試合連続で完投。球数は300球を越えていたのだからスゴイ。よくいう「鉄腕」というヤツ。
これで銀メダルは確定。明日のアメリカとの決勝は予選を含め2敗しているだけにキビシイけれど、いい試合をしてもらいたい。まさか上野は投げないだろうな。
今回はソフトボールにふれるつもりはなかったけれど、あまりいい試合だったのでつい。

裏でサッカーのキリンカップ(ウルグアイ戦でチョコチョコ見てました)をやっていたけれど、多分ソフトボールの方が視聴率高かったんじゃないかな。それにしても日本テレビ、よく最後まで放送したものだ。巨人戦なら打ち切りだろうけど。


今回の本題は「棄権」について。

陸上男子110mハードルはLIVEで見ていて驚かされた。

“中国の星”劉翔がまさかの棄権をしたのだ。
他の選手のフライングでスタートやり直しになったが、第一ハードルまで駆けた劉はすでに足を引きずっていた。
すると太ももに貼ったゼッケンを剥いであっさり退場してしまった。おそらく、走る前からアキレス腱に大きな不安をかかえていたのだろう。それがフライングでスタートを切ってみてダメだと確信したのだろう。

あとから考えれば、フライングは天の恵みになるかも。もしスタートが切られていたら激走しただろう。そして途中で痛みに耐えかねレースを止めていたかもしれない。そうなったら足へのダメージはもっと大きかっただろう。

その数時間後劉のコーチが記者会見に臨み、感情的になって劉の無念さを伝えていた。やはり劉選手に堂々と棄権したわけを話してほしかった。それは野口みずきも同じ。

劉のリタイアには中国でも賛否両論らしく、とりわけインターネットの書き込みでは「脱走兵」なる過激な言葉で非難していたものもあったとか。
マスコミでも劉の“敵前逃亡”を非難する論調もあったそうだが、先日、国家副主席が劉選手を見舞ったことから風向きが変わった。「棄権しても英雄」という“権力”の判断にマスコミの批判記事もインターネットでの非難も減ったという。

日本の常識からいえば、そんなこと国家の口出すことではないとなるのだが、劉やバスケットの楊を北京オリンピックの広告塔にまつりあげて、国民の意思統一を図ってきた中国としては擁護せざるをえなかったのだろう。それに沈黙してしまうマスコミも情けないが。

個人的には、劉の行動はある意味勇気あるもの(そうせざるをえないほど痛みがひどかったともいえるが)として肯定したい。
国民的、国家的期待は日本人の想像をはるかに超えるものであったに違いない。勝手な推測をすれば、劉ははじめから走れば無惨な姿を国民の前に晒すことがわかっていたのではないか。だからできることならエントリーを取り下げたかったのでは。しかし、国民の期待にコーチ陣も彼自身も棄権する“勇気”がなかったのだろう。
それで、あのフライングでようやく正しい決心がついたのではないか。

それで思い浮かぶのが、野口みずきと土佐礼子の女子マラソン選手。
このケガで泣いた3人を並べてみると。野口はスタートラインにつく前に決断した、劉はスタートラインには立ったが走る前に決断した、土佐は走ってやっぱり無理とわかり決断した。という三者三様の棄権だった。

アスリートとしてどれが賢明だったかといえば、やはり野口、劉、土佐の順だろう。
3人が3人とも「もしかしたら、奇跡的に痛みがなくなるのでは。いざ走ってみれば案外大丈夫かも知れない」とい米粒のような期待があったかもしれない。それ以上に大きかったのが「責任を果たさねば」「裏切ってはいけない」「いまここで投げだせばどんな非難を浴びることになるか」という“国民”という得体の知れない存在からの重圧。

そんな中でやはり野口は最も勇気ある決断をしたのではないだろうか。後にわかった土佐の1カ月以上練習をしていない、という周囲の証言はひどい。そんな選手をなんでスタートラインに立たせたのか。これは土佐自身というより、コーチ、スタッフ、知っていたなら陸連関係者に問題がある。

レスリングで銀メダルをとった松永共広選手に、元アスリートのインタビュアーが「よく日本のオリンピック14大会連続メダル獲得を死守してくれました」と問いかけたのに対し、彼は「僕は自分のために、闘ってきたつもりです」と明快に答えていた。
本音だと思うし、それでいいのではないか。オリンピックへの参加にどれだけの税金がつかわれているのかしらないが、そんなことでプレッシャーを感じることはない。
オリンピックともなれば、ある程度のナショナリズムは仕方がないがほどほどにだ。

それにしても、ハンマー投げの室伏広治もそうだが、“手負いのアスリート”がなんと多いことか。それだけ、限界に迫るギリギリの練習をしているのだなということがわかる。しかし、ケガをすればまた無理をすればいいことはなく、選手生命にも影響するということは今回の北京五輪を見なくてもあたりまえのこと。
メジャーリーグのイチローはデビューから十数年、大きなケガをしたことがない。資本である肉体の摂生、ケアに細心の注意を払っているのだろう。これもまた才能である。

さてとこのあと陸上男子200mのボルトの見なくては。
夢の18秒台が出るかもね。


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:スポーツ

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。