春の歌①若草の髪かざり [noisy life]
♪ あなたが髪に むすんでくれた
芽ばえたばかりの 草の髪かざり
やさしい春の 陽ざしのなかで
わたしは あなたの胸の中で 夢見てる
ほんの普段着の ウェディングドレス
ベールのかわりの 若草の髪かざり
ひばりの歌が のどかに聞こえて
ふたりは いつしか そっと口づける
(「若草の髪かざり」詞:阿久悠、曲:馬飼野俊一、歌:チェリッシュ、昭和48年)
ようやく暖かくなってまいりました。
とはいえ、今日もそうですが夜はまだ冷えて、ストーブはしまえません。
ブログはじめて3度目の春。いささかペースが落ち、先日のQちゃんのように失速ぎみですが、なんとか完走(ゴールはどこだ?)をと。で、2度目の「春の歌」。
チェリッシュの「若草の髪飾り」。
「春の陽ざし」「ひばりの歌」、ほかにも「緑がつづく野原」「そよ風」と春のキーワードに満ちた、幸せ一杯のウエディングソング。
なんといっても「若草」。自然においても、人生においてもこれほど夢と希望に満ちた言葉もないのでは。
チェリッシュの歌というのは、なんとなくハッピーソングが多いですね。
「てんとう虫のサンバ」しかり「避暑地の恋」しかり「恋の風車」しかり。
もちろんデビュー曲の「なのにあなたは京都へ行くの」は失恋ソングでしたし、「白いギター」や「ひまわりの小径」など、そうでない歌もありましたが、ベビーフェイスでベビーヴォイスの悦っちゃんはどうみても「陽」。恋愛讃歌が似合いました。
名古屋出身、松崎好孝と松崎(旧姓松井)悦子の男女デュオ。デビュー当時は5人組のバンドでしたが、レコード会社の方針かどうかは知らないけれど、すぐに淘汰。
フォークコンテストでスカウトされたというぐらいですから、もともとはフォークのバンドだったのでしょう。
「若草の髪飾り」の出た昭和48年といえば、吉田拓郎(落陽)、井上陽水(夢の中へ)に代表されるフォークの全盛期。その一方、沢田研二(危険な二人)、山本リンダ(狙いうち)などの歌謡ポップスも隆盛。かててくわえて天地真理(恋する夏の日)、南沙織(色づく街)、浅田美代子(赤い風船)、麻丘めぐみ(わたしの彼は左きき)、アグネス・チャン(草原の輝き)、西城秀樹(ちぎれた愛)などなど、アイドル歌謡の全開期。
そんななかでチェリッシュはいってみれば、それぞれの“いいとこ取り”をしたような存在だったように思います。
その魅力はなんといってもリードヴォーカル? 悦っちゃんの美しいハイトーンの声と、清潔感でした。正直な話、当時、男性つまり松崎クンは必要だったのか、という思いをもった人も多かったのでは。
しかし、たとえ刺身のツマでも存在意義はあるわけで、松崎悦子がソロだったらはたしてあれほどヒット曲を連発できたか……、ということでしょう。
その後、「東京ナイトクラブ」や「再会」などムード歌謡の作曲家として知られる吉田正の作品集を出したり、作家・五木寛之の「四季・奈津子」を歌ったりと新しいチャレンジをしていたのが印象に残ります。
とりわけ吉田正の「海の見える部屋」(同棲時代の終焉が歌われていて、なかなかの名曲です。作詞は「白いギター」などチェリッシュの主要曲の“座付き作家”林春生。
チェリッシュ、今でも健在でディナーショーやコンサート活動を続けているそうです。
それでは若草の歌を。
♪想い出すの 若草の頃を 「若草の頃」(小川知子)
フレンチポップス風というより、フランソワーズ・アルディの「さよならを教えて」をベースにしたメロディー。ということは荒井由実の「まちぶせ」にも似ている。
♪あの日あの子と あの街角で…… 「若草の恋」(木の実ナナ)
カトリーヌ・スパークが歌ったイタリアンポップスのカヴァー。少女のせつない失恋ソング。歌詞に若草という言葉は出てこない。
♪若草もえる 丘の上 若草の丘(本間千代子)
昭和30年代のアイドル女優が歌った青春歌謡。以前このブログでもとりあげた歌で、雑誌「明星」が詞を公募。したがって作詞の北里有紀生は入選した読者。
♪若草みたいな 甘い匂いがする 若草物語(コスモス)
コスモスは「スター誕生」を経て昭和47年デビューした女の子二人組のアイドルデュオ。
作詞作曲はアイドル御用達の都倉俊一と阿久悠。
♪背中についている 若草はらって 若草のデート(北村優子)
こちらも「スタ誕」出身で昭和52年デビューのアイドル。「ゆうひが丘の総理大臣」などTVドラマにも出演。昭和55年に病気で? 引退。作詞はまたまた阿久悠。
若草というフレーズを3度も使うなんて、阿久悠さん、よっぽどこの言葉のイメージと響きが好きだったのかも。そういえば、阿久さんの作詞でケイ・ウンスクが歌った「アモーレ/はげしく愛して」という曲があるのですが、そのアレンジャーが若草恵。……関係ないか。
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