橋①吊り橋 [a landscape]
♪ 山の吊り橋ゃ どなたが通る
せがれなくした 鉄砲うちが
話し相手の犬つれて
熊の親父を みやげにすると
鉄砲ひとなでして通る
ホレ ユーラユーラ
(「山の吊橋」詞:横井弘、曲:吉田矢健治、歌:春日八郎、昭和34年)
日本一の歩行専用吊り橋「九重“夢”大吊り橋」が昨年10月30日の完成から1年経たずして利用者200万人を突破というニュース。
「九重“夢”大吊り橋」は大分県の鳴子川渓谷に観光の目玉として架けられた吊り橋で、その長さ390メートル、高さ173mはともに日本一。また幅は1.5メートルで大人1,800人の重さに耐えられるよう設計されているとか。
総工費20億円で、3年足らずで完成している。通行料は子供200円、中学生以上500円とのこと。
ちなみに車も通行できる吊り橋の世界一は、平成10年に完成した神戸と淡路を結ぶ明石海峡大橋で、全長1991メートル。なお吊り橋の長さとは、ケーブルを支える2つの主塔の間、スパンのことをいうのだそうだ。
かの有名なサンフランシスコの吊り橋、金門橋ゴールデン・ゲート・ブリッジ(昭和30年代は世界一だった)が約1280メートルなので、明石海峡大橋の規模がいかにスーパー級なのかがわかる。
吊り橋というと、「インディ・ジョーンズ」などの冒険映画にでて来るような植物のつるで作ったような橋を思い浮かべるが、車の走る明石海峡大橋はもちろん、九重“夢”大吊り橋もともにコンクリート製。
それでも「九重」の方は多少揺れるのだろうし、それがまた通行人にはスリルが伴ってたまらないのではないだろうか。(写真見た限りでは揺れそうもないけど)
上に紹介した「山の吊橋」は、たぶん植物のつるで作った吊り橋だろう。ほんとにひと一人が渡れるほどの狭くて短い吊り橋。一日に数人の村人しか渡らないので、傷むことも少なく何年かに一度の補修でにこと足りている。人里離れた山村にあるそんな吊り橋。
詞に出てくる吊り橋を渡る猟師は、おそらく戦争で息子をなくしたのだろう。それでも時が経ち、悲しみも寂しさに変わり、もう何十年も過ごしてきたように、ニヒトノイエスという感じで通い慣れた吊り橋を渡っていくのである。
その2番では、東京へ出て行ってしまった恋人をしのぶ娘が涙をふきながら渡っていく。そして3番では酒を切らしたのんべえの炭焼きがクシャミをしながら揺れていく。
主人公は人間ではなく橋。こういう風景画のような歌謡曲がむかしはあった。
作詞の横井弘は「哀愁列車」(三橋美智也)や「下町の太陽」(倍賞千恵子)などのヒット曲で知られる、当時のキングレコードの看板作詞家。
♪ 思い出の 橋のたもとに
錆びついた 夢のかずかず
なんて泣かせる詞の「川は流れる」(仲宗根美樹)という名曲もありました。
takagakiさん、deacon_blueさん。
いつも読んでいただいてありがとうございます。
by MOMO (2007-09-18 21:24)