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【G・I刈り】 [obsolete]

『……細長い足にピッタリくっついた黒のズボン、青いラバーソールの靴、上半身の方は、襟に毛のついたグレイのジャンパー、その下がうす茶のスウェーター、スウェーターの胸元からは黄色い毛のシャツがのぞいている。頭はボサッとしたG・I刈りだ。』
(「寒い朝」石坂洋次郎、昭和34年)

引用したのは主人公三輪重夫の出で立ち。高校三年生ということだが、かなりオシャレだったようだ。ズボンはマンボ風だし、ラバーソールも当時のマンボ・スタイルの必需品。それにしては小説の中の重夫はイカレてない真面目学生。
「G・I刈り」のGIとはGovernment Issue(アメリカの徴募兵)のことで、彼らの多くがしていたヘアスタイルがGI刈り、あるいはGIカット。今で言えばスポーツ刈り(これも言わないか)。とにかく短いのだが坊主刈りでないのが格好良かった。日本でも流行ったが、本場の徹底したスポーツ刈りではなく、前髪を少しのばした和風だったようだ。当時の芸能人では橋幸夫がデビュー当時そんな髪をしていた。その他、角刈り、大工刈りも男の短髪を言った言葉だが、今ほどへアスタイルにそれほどヴァリエーションのない時代だった。エルヴィス・プレスリーが自身が主演した映画「GIブルース」で同名の主題歌を歌っている。日本でも坂本九や佐々木功によってカヴァーされた。

「寒い朝」は石坂洋次郎お得意の屈託のない青春ストーリーで、「週刊現代」に連載された。
主人公の重夫とヒロインのとみ子はお互いに大学受験を目指す仲よしの同級生。重夫は医者の父との父子家庭。とみ子は洋裁学校を経営する母との母子家庭。その4人が織りなすひと冬の物語。とみ子の急病、重夫を怒らせた作文事件、重夫ととみ子の家出騒動など問題山積。しかし結末は予想に違わずハッピーエンディング。
この作品は日活で映画化。吉永小百合がヒロインを演じ、主題歌も歌った。重夫役は吉永小百合の名コンビ浜田光夫。


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